9.11にて。

 あの夜は、部活で疲れて早く寝入ってしまい、僕がニュースを知ったのは翌朝のことだった。イマイチ記憶が錯綜しているが、その日は人身事故か何かで銀座線が止まっていて教師が来れず、一限が休講だったように思う。記憶している限りでは、それ以外別に何か特別なことはなく学校は終わったはずだ。日本はアメリカではない。学校から帰ってきて、その日は夕食の時間を除きずっとYahoo掲示*1に張り付いていた。当時既に2chは存在したはずだが、僕はまだそれを知らなかったし、当時のYahoo掲示板は今と比べ物にならないほどまともだった。アメリカのYahoo掲示板が投稿数10万を超え、日本は1万越え、イギリスでも3万以上の書き込みがあって、いずれもYahoo掲示板創設以来の新記録だと、誰かが書き込んでたのを覚えている。今から考えるに、数字が三ケタほど少ない気がするけれども、当時はまだISDNすら十分普及していなかったはずで、あり得ない数字ではない。
 あのとき以来、中学高校時代を通じて、僕は何度となく空から飛行機が落ちてくる夢に苛まれた。夢のプロットは大体いつも同じで、僕が空を飛ぶ飛行機を見ていて、なぜだか知らないけれど、それが落ちてくることが分かる。そうすると、それまでまっすぐに飛んでいた飛行機が急に旋回して僕の方に向かって猛スピードで落ちてくる。でも、それは僕に衝突することはなくて、必ず僕のすぐ横をすり抜けて地面と衝突、炎上する。そこで目が覚める。終盤の描写はもしかしたら何かの映画が元になっているのかもしれない。大学に入ったころから飛行機の夢は見なくなった。何か特定の原因があったのかもしれないけれど、思い出せない。*2
 僕が初めてホームページを立ち上げたのはその年の冬で、以来10年近くいろんなサーバや、名前、コンテンツでネット上に身を置いてきた。ブログのリニューアルが9.11に重なったのは全くの偶然で、おぼろげな思い出以外特に語ることはないのだけれど、一つ言うべきことがあるとすれば、9月12日のYahoo掲示板が僕の本当の意味でのネットや世界や、現代との出会いであったということ。それともう一つ、僕はもう飛行機が落ちてくる夢にはうなされていないということ。

*1:正確には、及びそのリンク先とに

*2:これはあまり楽しいことではなかったので、この前の地震では一切の津波動画を見ないように努めた。人は風化防止というが、残酷な現実から目を背ける権利は誰もが持っている。